騒がしくなるきっかけは
やはり騒がしいきっかけが原因なのである
第3話 パラダイスの幕開け
「いま、何て言った?」
たった今言った母親の言葉が理解できず、俺はつい聞き返した。
「だから、結狐ちゃんを学校へ入らせようって言ったの」
「意味わかんないって!!」
あまりにもの爆弾発言に
洸大はたまらずテーブルから立ち上がった。
「なんでそんな話になってんだよ!」
「だって、母さん達平日は仕事で家にいないし、洸大も学校でしょ?
愛美も毎日ここに来れるわけじゃないし、お爺ちゃんも忙しいし。
結狐ちゃんひとりになるじゃない」
「そ、それはそうだけど!! こいつは妖怪なんだぞ!?
どうやって学校へ通わせるんだよ! ・・・だいたい!」
洸大はテーブルの上に結狐を乗せた。
「この耳! この狐耳! どうやって隠すんだ!」
「あら、クセ毛だって言えば大丈夫よぉ」
「大丈夫じゃねえよ! 目! この赤い目だってあきらかおかしいだろ!」
「あら、カラーコンタクトって言えば大丈夫よぉ」
「だから! 小学生が普通カラコンなんかするか!」
「あらぁ、カラーコンタクトは今時のおしゃれよ?」
「うっせぇ! だいたい髪・・・は、まあ別になんとかなるけど!
尻尾! 尻尾はどうするんだよ!!」
「みゃあ!!?」
洸大は目の前でゆらゆら揺らしていた結狐の尻尾を力強く掴んだ。
「いやー! 尻尾掴まないでー!」
「これ! この9本! こんなのあったらおかしいだろ!」
とりあえず気持ち悪そうにしている結狐を放って洸大は絵奈に突きつけた。
「大丈夫よ、おしゃれアイテムって言えば」
「っ・・・!!!!」
こ、この母親は・・・!!!!
「既にお父さんとおじいさんには許可ももらってるし、学校には連絡済みよ!
と、いうことで・・・洸大、よろしくね!」
絵奈のものすっごい笑顔に、洸大は大きく肩を落とした。
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